ソーシャルデータバンク株式会社が提供する「Liny」は、自治体をはじめ、企業や個人事業主など、数多のユーザーから支持を集め、今では全国的に普及するようになりました。そんなLiny誕生の理由は、幼い頃からの友人の悩み事を解決したいという、ごく身近な気持ちから始まりました。学習塾を立ち上げた友人から、お客様との情報交換に使用しているLINEのコミュニケーションツールを「もっと便利な機能になれば」と相談を受けたことがきっかけです。当時のエピソードを二人のメンバーに語ってもらいました。
伊藤
粂原とは、中学校、高校が一緒で、同じ群馬県出身です。大学は別の学校になりましたが、友人としての交流は続いていました。
私は親の影響で、幼少時からパソコンに興味があり、同い年の周りの学生よりは、パソコンに関する知識があったんです。
ものづくりが好きで、大学に入学をしてすぐに演劇サークルに所属したんですが、サークルのチラシや、ホームページ、プロモーションビデオなど、制作物に携わることが自然と増え、人に喜んでもらうクリエイティブの制作がより面白いと感じるようになりました。
そこから社会に出て会社を立ち上げ、ありがたいことにアプリ開発や、ホームページの制作を様々なところから依頼されるようになりました。粂原が大学生の時に立ち上げた学習塾のホームページも私が作りました。
粂原
中学校一年生の時のパソコンの授業で、私は伊藤社長の隣の席だったんです。伊藤社長は私のことを覚えていないかもしれませんが、私はとても印象に残っていて。例えば、Excelを使って作業をする授業だった時、同級生は先生から教わりながら授業を受けていましたが、明らかに伊藤社長だけすぐに作業が終わってしまうんです。あまりにもパソコンの学習ペースが同級生と違っていて、一人だけ早く課題が終わってしまうんです。先生から逆に質問をされ教えていたこともあります。パソコンを教える側がわからないことを、伊藤社長はその時すでに答えていたんです。終わった後は他の学生とは違うものを作っていて、とんでもないものを作っている人がいるなと思っていました。その時からパソコンが得意なことは知っていたので、大学に入ってからもパソコンやシステムの機能について相談をしていました。
粂原
大学生の時に、学習塾を立ち上げたんですが、生徒とのやり取りのコミュニケーションツールに、LINEを使っていたのですが、当時のLINEは、一対一のやりとりしかできないことに不自由さを感じていたんです。自動でメッセージを読んでもらう仕組みを作り、シナリオ配信のようなイメージで一人一人の生徒に、適切な情報を送ることができれば便利だと思っていました。
LINEのシステムについて「もっと使いやすくならないのか」伊藤社長に相談をしたんです。その時、LINEのAPIが公開されたタイミングで伊藤社長もそのことを知っていたので、私が欲しいと思っていた機能をたった数日で作ってくれました。それがLinyの始まりだと思っています。
伊藤
私はシステム関係が好きだったので、LINEがシステム連携を解放し、外部システムとの接続を許可した時に、何かできることはないかと考えていました。ちょうどその時に、粂原がLINEの機能で不便に感じていることを相談してくれたんです。私自身、マーケティングについては詳しくはありませんでしたが、粂原が求めているシナリオ配信のイメージはあったので、どんなものを作ったら役に立つのか、喜んでもらえるのか考え、Linyの前身となるものを作りました。最初はLinyを一般の方向けに売るつもりはありませんでしたが、粂原が「これはすごい機能だからもっと広めよう」と声をかけてくれて。知り合いの社長さんに二人で営業に行ったんです。
一通りできることを説明すると、すごく興味を持ってくださって、共同でLinyのセミナーを開催しました。各会満席状態が続き、多くの方が自社でも使いたいと問い合わせをしてくださったんです。その様子を見てLinyの将来性を感じました。その後はお客様が求める、より良い機能を提供できるように開発、追究をしていきました。マーケティングで実際に利用してくれるユーザーが多いので「こういった機能が欲しい」という指摘は的確ですね。新規で購入を検討してくれているお客様にとって、より便利なものに進化している自負があります。ビジネスでLINEを使用する波に乗れたのは大きかったですね。
伊藤
私は経営者として、社員を路頭に迷わすことをしたくはありません。社員が増えるにつれて、さらに自分が努力をしなければならないと感じますね。会社が失敗をしたら、そこで働く人の人生が狂ってしまうかもしれない。もちろん、不安やプレッシャーはありますが、僕のことを支えてくれる社員へは、恩を返さなければならないと常に思っています。他企業では感じることができない、良い経験をこの会社でさせたいという気持ちもあります。給料を払っているから良いわけではなく、きちんと真摯に向き合うことが大切だと思うんです。
また、世の中の人たちに対しては「良いものを作り、提供をする」これが全てだと思っています。
たまたまLinyというツールが大ヒットしましたが、本質的には、
自分が作ったツールを使ってもらうことで、お客様にとって何がプラスになるのか、メリットを徹底的に考えることではないでしょうか。お客様が便利だと感じ、効率よく作業ができることで、幸福度を引き上げる。価値のないものを押し売りするのではなく、本当に良いものを作り、自信を持って提案するが経営者としての役割だと思っています。
粂原
伊藤社長は、幼少期から変わっていないと思います。私は仕事をする上で「あれもやりたい、これもやりたい」と思ってしまうことが多いんですが、伊藤社長は、私たち社員が挑戦してみたいことを、すぐに「やろうか」と言うのではなく、本当に心からチャレンジしてみたいと思っているのかどうかを判断をした上で、助言や提案、後押しをしてくれます。「何のためにチャレンジするのか?」自分たちにしっかりと考えさせてくれますね。自分のやりたいこと、世の中のためになることの軸がしっかりしているからこそ、今のソーシャルデータバンクがあるのかなと思います。
伊藤
昔から何かを作り、作ったものを自慢することが好きでした。
自己満足のようにも捉えられますが、自分が本気で納得できるものを作れば、その結果みんなが喜んでくれる。
そこに基点があったんじゃないかと思います。
伊藤
目先で考えるのであれば、組織作りです。会社の規模が小さく、10人、20人規模だった時は、会社の理念を理解しながら、堅実に業務に取り組んでくれてくれる社員がほとんどでした。創業当初は、私の思いに共感してくれる大学時代の仲間や知り合いの集まりだったので、自然と私に足りない部分を補ってくれ、支えてくれていましたね。
会社の規模が大きくなり社員が増えると、多種多様な考え方も生まれます。会話をほとんど交わしたことがない社員もいますので、仕事に対してどういった意識を持っているのかわからない方もいます。「たくさんの人に喜んでもらいたい」という根底にある気持ちは今でも変らないので「この人数の社員を幸せにするためにはどうしたら良いか?」「一人前に育てるためにはどうしたら良いか?」という組織経営の部分を常に摸索していますね。会社を支えていくための十二分の体制作り、社員のニーズや経験値をキープしていくため、組織をどのように運営していけば良いのかは、必死に考えているところです。
粂原
伊藤社長と同じく、組織としての仕組みを作っていくことは課題だと感じています。将来的な目標としては、Linyに代わる新たなツールの開発です。現在、会社の中心になっているものはLinyですが、既存のお客様のために今後も開発をしていく中で、新規のお客様の悩みも解決していきたいと思っています。私は開発する力はないので、経営企画として会社の土壌作り、人材の面を支えていきたいですね。
伊藤
ソーシャルデータバンクには、Linyという大きな柱がありますが、まだまだすべてのお客様のニーズを満たせていないと思っています。今後はさらにツールの領域を広め、お客様からの希望には「全部できます」という状態を目指したい。ゼロイチから作ることを目標としている部署もありますが、開発チームは大きなプロダクトを安定させ、運用していくところを軸にしています。両部署がうまくマッチできるようになることも今後の展望ですね。